髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革

 ルシアナはホールで楽しげに踊るベロニカを見て、目を細めている。
 確かにベロニカの容姿が大変貌を遂げたわけではない。体型が変わったとか、顔の作りが変わったとか、髪をバッサリ切ったのでもなく、変わったことといえば髪にツヤが出て、ぼわんと広がっていた髪がおちついたくらいだ。
 それなのにベロニカは、思わず目を奪われてしまうような魅力的な女性になった。

 内面が美しければいいと思っていたケイリーは、一度はルシアナに自分が間違っていたと謝った。けれど、それもやはり間違いだったかもしれない。と、今のベロニカを見て思う。
 自信を持ち内面が磨かれたからこそ、ケイリーはベロニカをより美しくなったと思ったのだから。

 そして結局のところ、ケイリーとルシアナの価値観は同じところにあったのだと気づいた。
 ルシアナはきっと、内面を輝かせるために外見を磨くのだと、そう言いたかっただけだ。

「ルシアナ……」
「はい?」
「もう一曲踊ろう!」
「えっ? えっっ?! わたくしワルツ以外は練習してな……ひゃぁぁ!」

 こんなにも心が軽くなり、身体中に喜びが駆け巡ったのはいつぶりだろう?
 ホールへと引っ張りだされたルシアナは、戸惑いながらも懸命に、ケイリーの動きに付いてこようとステップを踏んでいる。

 ――やっぱり、この女性(ひと)が好きだ。

 ケイリーがルシアナの内面にどうしようもないほど惹かれていることは、間違いない。
 
 
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