髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革

28. ベロニカ、婚約者と久しぶりに再開する

 癖の強い髪の上段を、カチューシャのように編み込んだ髪型。4年前、公爵邸で開かれたパーティーと全く同じ髪型を、ベロニカはあえて選んだ。
 ルシアナには気分転換に、いつもとは違う髪型にカットしてみてはどうかと提案されたことがある。けれどベロニカは今も、髪の毛を切りそろえるだけに留めておいている。
 ルシアナの提案する斬新なヘアスタイルが嫌という訳ではない。むしろルシアナのようにバッサリ切ってしまえたら、頭が軽くなって清々しい気持ちになれるのではないかとすら思う。

 単純にこれは、ベロニカの意地だ。

 ウィンストンに老婆だのジャングルだのとバカにされた、つまらない仕返しに過ぎない。

 いや、ウィンストンだけではない。
 男性に限らず女友達もベロニカの髪の毛を、内心では酷いものだと思われていたことくらい知っていた。
 友達がベロニカの前で、髪の毛の話題に触れることに慎重だったし、気遣ってくれていてくれたから。
 ウィンストンはみんなが思っていたことを、ただ言語化しただけ。その事が分かっていたからこそ、『馬鹿な男がただ、悪口を言っているだけに過ぎない』と受け流せなかった。

 あの日以来、ずっとルシアナが懸命に手入れをしてくれたお陰で、ベロニカの髪は以前よりもずっと素直で扱いやすい髪質になり、白髪ではなくプラチナブロンドと呼ぶに相応しい艶のある髪に変わった。

 そして母オリビアが主催したサロンでは、友達から初めて髪が「かわいい」「綺麗」と言われ、少しだけ、自分の髪が好きになってきた。
 いつも憂鬱だった鏡の前に立つ時間が楽しみへと変わり、自然と笑みがこぼれてしまう。
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