髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革

 五分ほどすると、ダフネが手に黄金色の液体が入った瓶と、小さな陶器製の容器を持って帰ってきた。
 待っている間に用意したぬるま湯に、持ってきてもらったりんご酢を少量注ぐと、りんごの甘酸っぱくフルーティーな香りが浴室に立ち上った。

「あら、すごくいい香りだわ。お酢独特の酸っぱい香りはするけれど、りんごのいい香りね」
「ええ、本当ですわね!」

 これは想像以上にいい!
 いつも使っている穀物酢では、ツンっと鼻にくる匂いだけれど、りんご酢にすると刺激臭から思わず嗅ぎたくなる香りになる。

「それでルシアナ、何故ハニーポット?」

 ダフネに持ってきてもらったもうひとつの容器はハニーポット。文字通り、蜂蜜が入っている。

「もちろん、ここに入れるためですわ」

 ルシアナはポットから蜂蜜をハニーディッパーですくうと、りんご酢入りの湯に垂らして掻き混ぜた。

「蜂蜜は保湿・殺菌効果に加えて、ビタミンにミネラルと栄養豊富! 髪の毛にもとっても良いのですわ」
「確かに蜂蜜を顔に塗る美容法があると聞いたことがあるわ。髪の毛にも良いのかもしれないわね」
「でも、ベタベタになるのではないですか?」

 少々不安げに湯桶を見つめるダフネに、ルシアナは自信を覗かせる。

「そんな事はないと思うの。きちんと洗い流せば程よくしっとりとして、保湿効果を得られるハズよ。やってみましょう」

 蜂蜜入りのヘアケア商材は過去に生きた世界で沢山あった。りんごと蜂蜜は香りの相性もいいし、
上手くいくはず。
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