髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革

「今、私が新しい事業として取り組んでいるのはカツラですよ。この国では自前の髪の毛を良しとしますが、私はカツラを流行らせたいと思っているのです」
「へぇ、カツラねえ。別に今生えている髪の毛で十分かと思うけど。わざわざなんで、別の髪の毛をくっつける必要があるの?」

 外見を磨くことに興味のないケイリーは、きっとカツラへの興味はゼロだろう。ルシアナ一人が食べ続けずっと手をつけていなかったクッキーに、ケイリーも手を伸ばしてパクパクと食べ始めた。

「私がこの事業を思い付いたのは、我が婚約者のためですよ」

 急に自分へと話題が振られて、ベロニカがビクッと肩を震わせた。

「ベロニカ嬢のためですか?」
「ええそうです。ご覧いただければ分かりますでしょう? 彼女は髪の毛に少々難がある。いや、かなりかな? ははっ、まあともかく、この見るに堪えない頭を何とかしてやりたいと思いましてね。カツラで覆ってしまえばいいのですよ」

 二ィィっと笑いながら喋るウィンストンの横では、ベロニカが涙をこらえて震えている。

「ほら、臭いものには蓋と言うではありませんか。見せなければいいのですよ。一人だけ被るというのは可哀想ですから、流行らせてしまえば恥ずかしくもない。ついでにバルドー家は儲かる、とね。はっはっはっ! いや、実にいい案だとは思いませんか?」
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