髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革
 
「こちらの瓶に入っているのはりんご酢をベースに、はちみつやリンゴエキス、それからカミツレなどのハーブエキスを混ぜ合わせたヘアトリートメントという物になります」
「ヘアトリートメントなんて商品、初めて聞きました。ねぇ?」
「はい。だから最先端の美容というわけですわ。ただのりんご酢を使うだけでももちろん良いのですが、こちらのトリートメントを使うと髪の悩みが解消される方もいらっしゃるでしょう。百聞は一見にしかず。という事で、今日は実際にわたくしが開発した商品を使って洗髪したいと思います。ダフネ、お願いしますわ」
「は、はいっ!」

 実演するにあたって、当初はルシアナが自分の髪を洗って見せようかと思ったが、ダフネが「お嬢様達の為なら!」と協力を申し出てくれた。説明しながらの実演をしやすくなってありがたい限りだ。
 ダフネには後でなにか御礼をしないと。

 背もたれが後ろに倒れた椅子に座ってもらい、湯を張った大きな桶にダフネの髪の毛を漬けていく。

「まずはこちらのシャンプー用石鹸。こちらにもリンゴエキスやはちみつなど、わたくしが考えたオリジナルの配合で作ってあります」

 石鹸を髪につけて泡立てるとふわふわと、りんごとはちみつの甘くフルーティな香りが部屋に漂う。

「先程頭が痒くなるという意見がありましたが、その原因の1つとして考えられるのは乾燥です。不潔だから痒いんだと、一生懸命に洗っていたのではないですか?」

 頭が痒くなると言っていた令嬢に目線をむけると、コクコクと頷き返してきた。
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