髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革
「お金。いくら必要なのかって聞いたの」
「え……」
驚いて母親の方を見ると、母も口を開けてアルベリア伯爵夫人の方を見ている。
「出資すると言っているのよ。ちょっとペンをお借りするわね」
伯爵夫人は壁際のテーブルに置いてあった羽根ペンを使って、サラサラ〜と文字を書きつけると、小切手を渡してきた。
「取り敢えずこの位で如何かしら?」
と……取り敢えずって。
この額なにーーっ?!
一、十、百、千……ゼロがいくつも並んでいて、ちゃんと数えないと分からない。
「実際に使ってみて気に入ったら、追加で出すわ」
「うそ……」
「だから早く量産してちょうだい。今年の王都で開かれるパーティーや茶会で、早速話題にしたいんだから。社交界の中心に居続けるのも楽じゃないのよ。このくらい安いものだわ。ほほほほほ」
開いた口が塞がらない、とはまさにこの事。
強力な後ろ盾を得たルシアナはこの後、更なる事業拡大の為に奔走することとなる。