髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革
2. ルシアナ、本性を知る
朝から公爵邸では使用人たちがパタパタと、右へ左へと動き回っている。
今日はパーティーが開かれるので、誰もかれもが忙しそうだ。
ルシアナを一人を除いて。
「あーあ、わたくしも早くパーティーに出席したいわ」
「あと数年の我慢ですよ」
12歳のルシアナはまだ社交デビューしていない。せっかく家でパーティーが開かれるというのに蚊帳の外状態で、忙しなく動き回る使用人たちを庭に置かれたイスに座って眺めている。
「ねえ、今日はお姉様の婚約者選びみたいなものなんでしょう? どこのご令息がいらっしゃるのかしら」
遠方から来ている参加者は、すでに来客用の部屋に数日前から寝泊まりしているので挨拶したけれど、まだまだ参加者はいるはずだ。
紅茶をコポコポとティーカップに注いでいるモニカが、「そうですねぇ」と思い出すように呟いた。
「私はルシアナお嬢様付きの侍女ですので来客者を詳しく把握しておりませんが、公爵家の跡取りとして相応しい方々がいらっしゃるのではないでしょうか」
「モニカ、そんなんじゃわたくしの質問の答えに、ぜんっぜんなってないですわ」
「そんなことを仰られましても」
「まあいいわ。夜にこっそり見に行けばいいだけだし」
「おーじょーうーさーまー! 子供の行くところではありませんよ」
「あらそれって、密会していたりするから? チューしてたりあーんな事や、こーんな事をしてる所に出くわしちゃったりして」
前世の記憶が蘇ったので、大人たちの事情もそれなりに分かる。
うふふっ、と笑ってティーカップに口をつけると、モニカが顔を真っ赤にして怒り出した。
「おおおお嬢様ーーーっ! 」
「冗談よ、冗談。子供は大人しく寝ていればいいんでしょ」
――なんて、そんな訳ない。
ばっちり目が開いているルシアナは、夜な夜な部屋を抜け出してパーティー会場となっているホール近くの庭へと忍び込んだ。
今日はパーティーが開かれるので、誰もかれもが忙しそうだ。
ルシアナを一人を除いて。
「あーあ、わたくしも早くパーティーに出席したいわ」
「あと数年の我慢ですよ」
12歳のルシアナはまだ社交デビューしていない。せっかく家でパーティーが開かれるというのに蚊帳の外状態で、忙しなく動き回る使用人たちを庭に置かれたイスに座って眺めている。
「ねえ、今日はお姉様の婚約者選びみたいなものなんでしょう? どこのご令息がいらっしゃるのかしら」
遠方から来ている参加者は、すでに来客用の部屋に数日前から寝泊まりしているので挨拶したけれど、まだまだ参加者はいるはずだ。
紅茶をコポコポとティーカップに注いでいるモニカが、「そうですねぇ」と思い出すように呟いた。
「私はルシアナお嬢様付きの侍女ですので来客者を詳しく把握しておりませんが、公爵家の跡取りとして相応しい方々がいらっしゃるのではないでしょうか」
「モニカ、そんなんじゃわたくしの質問の答えに、ぜんっぜんなってないですわ」
「そんなことを仰られましても」
「まあいいわ。夜にこっそり見に行けばいいだけだし」
「おーじょーうーさーまー! 子供の行くところではありませんよ」
「あらそれって、密会していたりするから? チューしてたりあーんな事や、こーんな事をしてる所に出くわしちゃったりして」
前世の記憶が蘇ったので、大人たちの事情もそれなりに分かる。
うふふっ、と笑ってティーカップに口をつけると、モニカが顔を真っ赤にして怒り出した。
「おおおお嬢様ーーーっ! 」
「冗談よ、冗談。子供は大人しく寝ていればいいんでしょ」
――なんて、そんな訳ない。
ばっちり目が開いているルシアナは、夜な夜な部屋を抜け出してパーティー会場となっているホール近くの庭へと忍び込んだ。