髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革
「こうなるともう、貴族の女性というだけの枠には収まらないわね。ルシアナが誰と結婚するのか楽しみよ」
「貰い手が見つかるか怪しいところですけれど」
ルミナリア公爵家は財政難から脱出しつつあるので、ルシアナと婚姻を結ぶことは、条件だけで言ったらそう悪くはない。
でも自身の性格上、夫婦生活が上手くいく相手はかなり選ばなければならないとは思う。
我慢が苦手。負けず嫌い。思ったことがすぐ顔や口に出る。
昔ケイリーに言われた通り、感情のコントロールが苦手なルシアナを夫人として迎え入れたいと思う男性が、果たしているのかどうか……。
「そんなことないわよ。確かに己を立ててくれる慎ましやかな女性を好む男性は多いけれど、自分の意思をしっかりと持った女性が好きって男性も結構いるのよ。ね?」
「ええ、そうよ。なんなら私が何時でも紹介してあげる」
ベアトリスが侍女頭に言うと、得意気な顔で頷いている。
「彼女はね、何人ものカップルの仲立ちをしてきてるのよ」
「それでは困った時にはお願いしますわ」
「ねえルシアナ。ふと思ったのだけれど、あなた舞踏会の日のエスコートは誰に頼むの?」
「え……」
「まさか、まだ見つけていないの?!」
舞踏会などのパーティーには、エスコートをしてくれる男性を伴って参加するのが通例。婚約者がいない場合は交流のある独身男性か、いなければ兄弟や親戚の男性に頼むのだが……。
突然手紙で王宮に呼び出され、そのまま仕事に邁進していたルシアナは、すっかり自分のパートナーのことなど失念していた。
当日着るドレスや靴などは持ってきていたのに……。
「男兄弟はいないから、従兄弟に頼めば……いえ、今から手紙を送っても、着くのは早くても一週間はかかるわよね……。そこから急いできてもらっても十日はかかるし……舞踏会は2週間後だもの。どう考えても間に合わないわ」
思いつく従兄弟で王宮に1番近い人でも、馬車を使って十日はかかる。ワンチャン、その人がもともと今回の舞踏会に来る予定で、パートナーがいないという可能性も……流石にダメよね。
当日知り合いを見つけて急にエスコートを頼むなんて、ちょっとどころか、かなり無謀だ。