眠れぬ夜は、優しすぎる刑事の腕の中で。
静かな休日のはじまり
翌朝、午前10時頃。
インターホンの音で花音が玄関を開けると、そこには、涼しげな私服姿の早瀬が立っていた。
白のリネンシャツに、グレージュのチノパン。
カジュアルなのに清潔感があって、夏の強い日差しの中でもどこか爽やかに見えた。
それが“警察官の顔”とは全く違う穏やかな一面であることに、花音は少しだけ驚いた。
「おはようございます。準備、大丈夫ですか?」
「はい。お待たせしました」
花音は、ブラウンのペプラムジレに、淡いピンクのタック入りワイドパンツという上品なコーディネート。
気合いを入れたつもりはなかったのに、彼の前では“ちゃんとしていたい”と思った自分に気づいて、内心ほんの少しだけ恥ずかしくなる。
「じゃあ、行きましょうか」
早瀬が微笑みながら歩き出し、花音も少し遅れて並ぶ。
彼の隣を歩くのは、なんだか落ち着かない。
だけど、どんな場所よりも安心できる。その矛盾が、むしろ心地よかった。
しばらく歩いたところで、早瀬がふとこちらを見て聞く。
「昨日は、眠れましたか?」
花音は、うんと小さく頷いたあと、少し笑って答えた。
「はい。お昼ごろから爆睡でした。恥ずかしいくらいに」
「それはよかった」
「昨日は……頑張りましたもんね、佐原さん」
「はい。過去いち頑張ったと思います。……最後、ちょっとサボっちゃいましたけど。内緒です」
花音が苦笑混じりに言うと、早瀬もくすっと笑って、
「それは僕と新田さんも共犯なんで。三人まとめて内緒です」
その言葉に、花音の胸の奥がほんのりと温かくなった。
あの一晩を、ただの仕事として終わらせずにいてくれた──そんな優しさが嬉しかった。
日差しの強い街を二人並んで歩く。
けれど、向かう先は、静かで涼しい“屋内型水族館”。
花音にとって、ほんの少し前までは想像もできなかった種類の休日が、
いま、目の前で静かに始まろうとしていた。
インターホンの音で花音が玄関を開けると、そこには、涼しげな私服姿の早瀬が立っていた。
白のリネンシャツに、グレージュのチノパン。
カジュアルなのに清潔感があって、夏の強い日差しの中でもどこか爽やかに見えた。
それが“警察官の顔”とは全く違う穏やかな一面であることに、花音は少しだけ驚いた。
「おはようございます。準備、大丈夫ですか?」
「はい。お待たせしました」
花音は、ブラウンのペプラムジレに、淡いピンクのタック入りワイドパンツという上品なコーディネート。
気合いを入れたつもりはなかったのに、彼の前では“ちゃんとしていたい”と思った自分に気づいて、内心ほんの少しだけ恥ずかしくなる。
「じゃあ、行きましょうか」
早瀬が微笑みながら歩き出し、花音も少し遅れて並ぶ。
彼の隣を歩くのは、なんだか落ち着かない。
だけど、どんな場所よりも安心できる。その矛盾が、むしろ心地よかった。
しばらく歩いたところで、早瀬がふとこちらを見て聞く。
「昨日は、眠れましたか?」
花音は、うんと小さく頷いたあと、少し笑って答えた。
「はい。お昼ごろから爆睡でした。恥ずかしいくらいに」
「それはよかった」
「昨日は……頑張りましたもんね、佐原さん」
「はい。過去いち頑張ったと思います。……最後、ちょっとサボっちゃいましたけど。内緒です」
花音が苦笑混じりに言うと、早瀬もくすっと笑って、
「それは僕と新田さんも共犯なんで。三人まとめて内緒です」
その言葉に、花音の胸の奥がほんのりと温かくなった。
あの一晩を、ただの仕事として終わらせずにいてくれた──そんな優しさが嬉しかった。
日差しの強い街を二人並んで歩く。
けれど、向かう先は、静かで涼しい“屋内型水族館”。
花音にとって、ほんの少し前までは想像もできなかった種類の休日が、
いま、目の前で静かに始まろうとしていた。