眠れぬ夜は、優しすぎる刑事の腕の中で。
シャワーを浴びて、ふわりとしたワンピースに着替えたタイミングで、スマホが震えた。
画面には「早瀬匠」の名前。
《今日夜勤じゃなかったら会いたい。》
たったそれだけの短い文に、心が一瞬きゅっとなる。
「……ずいぶん、ストレート」
思わず呟いて、口元が緩む。
ソファに腰を下ろしながら、すぐに返信を打つ。
《今日休みだから、何時でも大丈夫です。たくみさんに合わせます》
メッセージを送信してからスマホを伏せ、クッションを抱きしめるように身体を丸めた。
そのまましばらく余韻にひたり、ふいに「よし」と立ち上がる。
掃除機を出し、部屋の床に散った髪や埃を丁寧に吸い込む。
キッチンのシンクも軽く磨き、クッションカバーを取り替え、ソファに花柄の膝掛けをかけ直す。
――だけど、ふと手が止まった。
「……会いたい、って。どこで?レストラン? それとも、家?」
口に出してみると、急にわからなくなって、スマホを開き直す。
既読はまだついていない。
迷った末に、もう一度送る。
《今日、何食べたい?》
答えの空白を、少しだけ眺めてからスマホを伏せた。
(いつもなら「夕飯どうですか?」って、まず食事の話から入るのに)
今日は“会いたい”から始まった。
それが嬉しくて、でもなんとなくソワソワして――
(彼氏って、こんなもん?)
どうしても言葉の背景を読んでしまう。
相手の気持ち、裏の意味、意図……。
――職業病だ。
自嘲するように笑って、洗面台へ向かう。
部屋は整えた。
どちらでもいいように、メイクは軽く。
ナチュラルな中にもほんの少し色を足す。
“特別”じゃなく、“ちょうどいい”くらいに。
(誰かを待つ、って……こんなにも)
鏡の前で自分の髪を整えながら、胸の奥にほんのり灯るものを感じる。
(穏やかで、癒される)
まるで、やっと呼吸ができたような午後だった。
画面には「早瀬匠」の名前。
《今日夜勤じゃなかったら会いたい。》
たったそれだけの短い文に、心が一瞬きゅっとなる。
「……ずいぶん、ストレート」
思わず呟いて、口元が緩む。
ソファに腰を下ろしながら、すぐに返信を打つ。
《今日休みだから、何時でも大丈夫です。たくみさんに合わせます》
メッセージを送信してからスマホを伏せ、クッションを抱きしめるように身体を丸めた。
そのまましばらく余韻にひたり、ふいに「よし」と立ち上がる。
掃除機を出し、部屋の床に散った髪や埃を丁寧に吸い込む。
キッチンのシンクも軽く磨き、クッションカバーを取り替え、ソファに花柄の膝掛けをかけ直す。
――だけど、ふと手が止まった。
「……会いたい、って。どこで?レストラン? それとも、家?」
口に出してみると、急にわからなくなって、スマホを開き直す。
既読はまだついていない。
迷った末に、もう一度送る。
《今日、何食べたい?》
答えの空白を、少しだけ眺めてからスマホを伏せた。
(いつもなら「夕飯どうですか?」って、まず食事の話から入るのに)
今日は“会いたい”から始まった。
それが嬉しくて、でもなんとなくソワソワして――
(彼氏って、こんなもん?)
どうしても言葉の背景を読んでしまう。
相手の気持ち、裏の意味、意図……。
――職業病だ。
自嘲するように笑って、洗面台へ向かう。
部屋は整えた。
どちらでもいいように、メイクは軽く。
ナチュラルな中にもほんの少し色を足す。
“特別”じゃなく、“ちょうどいい”くらいに。
(誰かを待つ、って……こんなにも)
鏡の前で自分の髪を整えながら、胸の奥にほんのり灯るものを感じる。
(穏やかで、癒される)
まるで、やっと呼吸ができたような午後だった。