眠れぬ夜は、優しすぎる刑事の腕の中で。
唇を離したあとも、花音はそのまま匠の胸元に頬を寄せていた。
彼の心音が、穏やかに、一定のリズムで響いている。
それを聞いているだけで、花音の中の緊張がゆるゆるとほどけていくようだった。
「……ねえ、もっとぎゅーして」
小さな声でそうつぶやくと、匠は無言のまま、彼女の身体をそっと引き寄せた。
ぴたりと重なる距離に、花音はふにゃっと目を細める。
「やわらかい……」
ぽつりと漏れた匠のひと言に、花音はくすっと笑い、指先で彼のシャツの胸元をつまんだ。
「それって、セクハラ?」
「ううん、愛情表現」
「じゃあ……許す」
そんな他愛のないやりとりを交わしながらも、ふたりは自然と黙り、ソファの上でただ寄り添っていた。
時折、花音が匠の首筋に頬をすり寄せたり、匠が彼女の髪にそっと口づけたり。
言葉にしなくても、そこに流れるものは同じだった。
花音がゆっくりと身をずらし、匠の膝にすべり込むようにもたれかかると、
匠はためらいなく、その腰に腕を回す。
「たくみって、あったかいね」
「花音が冷え性なんじゃなくて?」
「うん、それもあるけど……ちゃんと、温めてくれてるって感じがする」
「……それって、夜の合図?」
「ちがーう。でも、その顔かわいいからポイント高いよ」
「……からかわれてる気がするな」
そう言いながらも、匠の表情は緩んでいた。
何かを期待するでもなく、ただこの時間が続いてほしい――
そんな気持ちだけが、静かにふたりの間に滲んでいた。
そして、やがて。
花音がぽつりと「眠たくなってきたかも」と呟いたのをきっかけに、ふたりはゆっくりと身体を起こす。
けれど、花音はソファから立ち上がらず、甘えるように匠を見上げた。
「ねぇ、抱っこで連れてって」
「……え? マジで?」
「だって、たくみの筋肉って、私のためのものでしょ?」
その目がほんのり上目遣いだったのを、匠は見逃さなかった。
少しだけ苦笑いしながらも、彼はためらいなく身をかがめる。
「……そうだった」
そう言って、花音の身体をそっと抱き上げる。
花音は嬉しそうに笑いながら、匠の首に腕を回して、静かにその胸元へ顔をうずめた。
「やっぱ、たくみってあったかい……」
「言ったでしょ、温め係だって」
ふたりのやりとりはそのまま、夜の静けさのなかへ溶けていくように、
ひとつの影となって、やわらかな灯りの下をゆっくりと寝室へと進んでいった。
彼の心音が、穏やかに、一定のリズムで響いている。
それを聞いているだけで、花音の中の緊張がゆるゆるとほどけていくようだった。
「……ねえ、もっとぎゅーして」
小さな声でそうつぶやくと、匠は無言のまま、彼女の身体をそっと引き寄せた。
ぴたりと重なる距離に、花音はふにゃっと目を細める。
「やわらかい……」
ぽつりと漏れた匠のひと言に、花音はくすっと笑い、指先で彼のシャツの胸元をつまんだ。
「それって、セクハラ?」
「ううん、愛情表現」
「じゃあ……許す」
そんな他愛のないやりとりを交わしながらも、ふたりは自然と黙り、ソファの上でただ寄り添っていた。
時折、花音が匠の首筋に頬をすり寄せたり、匠が彼女の髪にそっと口づけたり。
言葉にしなくても、そこに流れるものは同じだった。
花音がゆっくりと身をずらし、匠の膝にすべり込むようにもたれかかると、
匠はためらいなく、その腰に腕を回す。
「たくみって、あったかいね」
「花音が冷え性なんじゃなくて?」
「うん、それもあるけど……ちゃんと、温めてくれてるって感じがする」
「……それって、夜の合図?」
「ちがーう。でも、その顔かわいいからポイント高いよ」
「……からかわれてる気がするな」
そう言いながらも、匠の表情は緩んでいた。
何かを期待するでもなく、ただこの時間が続いてほしい――
そんな気持ちだけが、静かにふたりの間に滲んでいた。
そして、やがて。
花音がぽつりと「眠たくなってきたかも」と呟いたのをきっかけに、ふたりはゆっくりと身体を起こす。
けれど、花音はソファから立ち上がらず、甘えるように匠を見上げた。
「ねぇ、抱っこで連れてって」
「……え? マジで?」
「だって、たくみの筋肉って、私のためのものでしょ?」
その目がほんのり上目遣いだったのを、匠は見逃さなかった。
少しだけ苦笑いしながらも、彼はためらいなく身をかがめる。
「……そうだった」
そう言って、花音の身体をそっと抱き上げる。
花音は嬉しそうに笑いながら、匠の首に腕を回して、静かにその胸元へ顔をうずめた。
「やっぱ、たくみってあったかい……」
「言ったでしょ、温め係だって」
ふたりのやりとりはそのまま、夜の静けさのなかへ溶けていくように、
ひとつの影となって、やわらかな灯りの下をゆっくりと寝室へと進んでいった。