眠れぬ夜は、優しすぎる刑事の腕の中で。
「……おい、あれ……!」

警察官のひとりが、公園の奥にある遊具を指さして声を上げた。
その声に反応するように、別の署員が駆け寄る。
水飲み場のそば、小さな背中が、じっとその場にうずくまっていた。

「……赤尾悠真くんか?」

呼びかけに、少年がびくっと肩を揺らす。
振り返ったその顔は、怯えと戸惑いでいっぱいだった。

「大丈夫だよ。もう大丈夫――」
警察官がゆっくりしゃがみ込み、優しい声で語りかける。

その瞬間だった。
悠真は、抑えていたものが一気に決壊したように、警察官の胸に飛び込んだ。

「う……っ、う、うわああああああん……!」

声を張り上げて泣きじゃくる。
体を震わせ、腕にしがみつき、泣き声が朝の空に響いた。
警察官はその細い体をそっと抱きとめ、ゆっくりと背を撫でた。

「怖かったな……よく頑張ったな、悠真くん」

その声は、まるで答え合わせのように響いた。
確かに、生きて、ここにいる。
ただそれだけで、胸が熱くなった。

署員のひとりが無線を手に取り、「赤尾悠真、発見。意識あり、外傷なし」と報告する。

頭上には、真っ白な雲がゆっくり流れていく。
太陽は高く、光は静かに地面を照らしていた。

空はもう、すっかり昼の色になっていた。
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