眠れぬ夜は、優しすぎる刑事の腕の中で。
匠の声と手のぬくもりに包まれながら、花音の呼吸は徐々に落ち着いていった。
酸素を吸い込めるという当たり前のことに、体も心も少しずつ戻ってくる。
「……ごめんなさい。頭ではわかってるんだけど……」
搾り出すように花音が言うと、匠は優しく首を振った。
「うん。……しばらく仕事関係のもの、預かってもらう? 家にあるとまた気になっちゃうかも」
「……うん」
花音が小さく頷くと、匠はすぐに言った。
「じゃあ後で、朝岡さんに連絡しとくから」
安心させるように、落ち着いた声で。
一拍置いて、匠は視線を落とし、静かに訊ねる。
「ご飯……食べれそう?」
「うん、お腹空いてる」
その答えに安堵したように微笑むと、匠は花音を支えてゆっくりダイニングへ。
温かいスープの香りが漂い始めた頃には、花音もスプーンを持てるだけの余裕を取り戻していた。
一口、また一口。
食事が進む中、花音はふと呟く。
「私……心のどこかで、“あんなことあったけど、意外と平気かも”って思ってた。……でも、全然、自分のこと観察できてなかった。プロとして、まだまだだなって」
匠はその言葉に眉を寄せたが、すぐに優しく、諭すように言う。
「すぐそうやって自分責めない。
誰があの場にいても、同じようになってたよ。
花音が弱いからじゃない。むしろ、よく乗り越えたんでしょ」
その言葉に、花音はふっと微笑んだ。
「……なんか、匠くんの方がカウンセラーみたいだね」
そう言いながら、スープをすくう手が戻る。
温かいものが胃に落ちると、不思議と気持ちも落ち着いていく。
「やっぱり……瑠奈にも相談してみる。
どんなに自分が勉強してたり知識あっても、自分のことは見てあげられないっていうのが、臨床の人の考え方だから」
その言葉に、匠はほっと息をつきつつ、
専門家としての花音の冷静さに、心の底から感心しながら箸を進めた。
「……うん、それがいい。そうやって、頼れる人には頼ってよ。俺にも、もちろんね」
酸素を吸い込めるという当たり前のことに、体も心も少しずつ戻ってくる。
「……ごめんなさい。頭ではわかってるんだけど……」
搾り出すように花音が言うと、匠は優しく首を振った。
「うん。……しばらく仕事関係のもの、預かってもらう? 家にあるとまた気になっちゃうかも」
「……うん」
花音が小さく頷くと、匠はすぐに言った。
「じゃあ後で、朝岡さんに連絡しとくから」
安心させるように、落ち着いた声で。
一拍置いて、匠は視線を落とし、静かに訊ねる。
「ご飯……食べれそう?」
「うん、お腹空いてる」
その答えに安堵したように微笑むと、匠は花音を支えてゆっくりダイニングへ。
温かいスープの香りが漂い始めた頃には、花音もスプーンを持てるだけの余裕を取り戻していた。
一口、また一口。
食事が進む中、花音はふと呟く。
「私……心のどこかで、“あんなことあったけど、意外と平気かも”って思ってた。……でも、全然、自分のこと観察できてなかった。プロとして、まだまだだなって」
匠はその言葉に眉を寄せたが、すぐに優しく、諭すように言う。
「すぐそうやって自分責めない。
誰があの場にいても、同じようになってたよ。
花音が弱いからじゃない。むしろ、よく乗り越えたんでしょ」
その言葉に、花音はふっと微笑んだ。
「……なんか、匠くんの方がカウンセラーみたいだね」
そう言いながら、スープをすくう手が戻る。
温かいものが胃に落ちると、不思議と気持ちも落ち着いていく。
「やっぱり……瑠奈にも相談してみる。
どんなに自分が勉強してたり知識あっても、自分のことは見てあげられないっていうのが、臨床の人の考え方だから」
その言葉に、匠はほっと息をつきつつ、
専門家としての花音の冷静さに、心の底から感心しながら箸を進めた。
「……うん、それがいい。そうやって、頼れる人には頼ってよ。俺にも、もちろんね」