眠れぬ夜は、優しすぎる刑事の腕の中で。
食後、食器を片づけながら匠がふと口を開く。

「……一回、家戻ってスーツ取ってくるわ。出勤できるようにしておきたいし、母さんにもちょっと顔出してって言われててさ。ちょっくら行ってくる」

花音は手を止めて、少し間を置いてから尋ねる。

「……匠、泊まってくれるの?」

匠はその問いに驚いたように目を見開いたが、すぐに柔らかく微笑む。

「うん。夜、心配じゃない? 大丈夫そう?」

花音は、少し恥ずかしそうに目を伏せながらも、率直に答える。

「……いてくれたら安心かも」

匠はそれを聞いて、まるで何かを決意するように頷いた。

「それなら泊まるよ。
俺も、一緒にいると安心だし」

言いながら花音の頭をそっと撫でる手には、変わらぬ優しさと、これからもずっとそばにいたいという強い意志が込められていた。
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