眠れぬ夜は、優しすぎる刑事の腕の中で。
「ん……っ、匠……」
花音の声は震えていて、それでもどこか幸せそうで、息が触れる距離で彼の名を呼ぶその響きが、匠の胸を強く締めつけた。

「花音……愛してる」
言葉とともに、匠はそっと彼女の髪を撫で、柔らかな唇で頬にキスを落とす。
ひとつひとつの動きが優しくて、でも深くて、まるで心の奥まで抱きしめられているような感覚。

ゆっくりとした律動がふたりの間を満たしていく。
花音の身体は、そのたびに震え、小さく甘い吐息がこぼれて止まらなかった。

彼の動きは急がず、まるで彼女の反応すべてを愛おしむように丁寧で――
花音はその優しさに包まれるたび、自分の奥に眠っていた感情が、少しずつ溶けていくのを感じていた。

「ねえ……もっと触れて」
恥ずかしさを超えて、自然にこぼれた言葉。
それが匠の中の何かを決定的に揺さぶる。

「……うん、いっぱい触れる。花音が欲しいって言ってくれるなら、何度だって」
匠の声は掠れて甘く、まるで愛を注ぐように熱を帯びていた。

再び、彼の動きが少し深くなる。
身体の奥に届くたび、花音の指先がシーツをつかみ、声にならない声が喉元で震えた。

「んっ……あ、ああっ……」
抑えきれない甘い音が、ふたりの間の空気を震わせる。
その響きに、匠の目が優しく細められる。

「もっと気持ちよくなって……俺だけの花音でいて」
低く甘い声に、花音は胸の奥まで満たされていくようだった。

愛されている――その実感が、快感とともに全身を支配していく。
羞恥や不安は、もうどこにもなくて、あるのはただ、ふたりで重ねる温もりだけ。

その温もりに包まれながら、花音はゆっくりと目を閉じ、匠の名を何度も心の中で繰り返した。
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