眠れぬ夜は、優しすぎる刑事の腕の中で。
「……匠っ、だめ、もう……っ」
花音の吐息まじりの声が、切なさと甘さを滲ませて震えた。

でもその声とは裏腹に、花音の身体は彼の動きに自然と応えていく。
何度も重ねられる熱が、花音の奥深くを満たし、すでに快感の波は何度も彼女を揺さぶっていた。

匠はそんな花音の変化を、まるごと感じ取っていた。
絡めた指先、汗ばんだ肌、熱を帯びた瞳の奥に宿る、彼だけに見せる姿――

「可愛い……たまらない。もっと、花音を感じさせて」
彼の声は甘く低く、囁くたびに肌の奥が震えるようで。
次の瞬間、深く、深く、彼が花音の中へと押し寄せてくる。

「あっ……んんっ……」
全身が波にのまれるように跳ね、背中が小さくのけぞる。
その動きに合わせるように、匠が花音をしっかりと抱きしめて、耳元に熱を落とす。

「いいよ、全部見せて……俺の中で気持ちよくなってる花音、すごく綺麗だから」
そんな甘い言葉を囁かれて、羞恥の奥にある快感が一気に溢れ出す。

逃げたい。でも離れたくない。
矛盾した感情が渦巻くたびに、匠の腕がぎゅっと強くなる。

「……もう、俺の全部、花音にあげる」
その言葉の通り、彼の動きがひときわ深くなり、身体の奥をくすぐるような快感が一気に突き抜けていく。

「あっ……だめ、だめ……っ」
花音の声が裏返る。身体が勝手に跳ねて、深いところで快感がはじけた。

「花音……一緒に……」
匠もまた限界を感じながら、最後の熱をその奥に注ぎ込むように身体を押しつけてくる。

ふたりの身体が一体となった瞬間、時間がふっと止まったかのように静寂が訪れた。

どくん、どくん――
心臓の音だけが、互いの鼓膜の奥で共鳴している。

「……愛してるよ、花音。今までも、これからも、ずっと」
その言葉に、花音の瞳からひとすじ、涙が流れた。
それは苦しさでも、悲しみでもない。満たされた愛情と幸福が、こぼれ落ちたものだった。

匠はその涙をそっと唇で吸い取るようにキスを落とし、抱きしめたまま、何度も優しく囁いた。

「もう、離さないよ。絶対に」
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