リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
正面に向かい合ってお互いに名前だけの自己紹介をした後、ウェルカムサービスのドリンクが来て、乾杯をする。
こういう事にいちいち慣れない私は、男の子達はもちろん、胡兎や雫と比べても、一人ぎこちない動きをしている気がして、もうこの会の序盤から居心地が微妙になってきた。
「朱理ちゃんって、もしかしてお酒苦手?ノンアルのもの、何か頼もうか?」
唐突にそう、私に切り出したのは淳平君だった。
淳平君はシルバーの派手な髪をしているにも関わらず、下品さだとか、不良っぽさを微塵も感じさせない。
自分に似合うものを良く知っていて洗練されているからなんだろうか…。
「えっ…あ、だ、大丈夫です。」
多分、私が居心地悪そうなのを察して声をかけてくれたんだろう。
まさか苦手なのはお酒じゃなく初対面の男性なんです、とは口が裂けても言えなかった。