リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
「あ〜…博巳?博巳の事なら別に大した問題でもないよ。待ってればそのうち連絡も返ってくるんじゃないかな?」
…やっぱりだ。
和哉君は博巳君の事を、会ったこともないこっちまで不安になるほど心配してるっていうのに、あまりに温度差を感じるこの発言。
私は正直、淳平君に引いていた。
和哉君は淳平君の言い草に、苦笑いしているけど、その顔は悲痛そのもの。
透君はどこか視点が定まらないまま目を泳がせ、何も言わない。
また、彼が例によって頻繁に口にしていた氷水入りのジョッキをテーブルに置こうとした時、やはりジョッキ、というか、要は右手が小刻みに震えている様子を、私は再度確認した。
それにあれだけ淳平君に靡いていた胡兎でさえ、この時ばかりは困惑したのか、真顔になっている。