リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
「あのね胡兎。それは私達が決められるようなものじゃないでしょ?」
胡兎を嗜めようと、ずっと画面に集中させていた視線を上げると真っ先に、胡兎よりも先にモニターの脇に居た真鵺と目が合った。
真鵺は相変わらず何も言わない。
だけど、“うんうん”と軽く二回頷いた。
つまり、胡兎の希望に賛成するってこと。
私は正直なところ、自分がセンターじゃなきゃ、なんて思ったことはない。
けれどもそれは、もしかして真鵺も同じだったりするんだろうか?
こういう本音の部分やその他の事も、真鵺と向き合って話した事は一度も無くて、その理由は真鵺が近寄り難かったり、事務所の大人達から特別扱いされているからだったりするのもあるけど…。
私はグループの矢面に立つ存在になりたくない、そのプレッシャーからは逃げたい気持ちがある。
だから、その立場を真鵺ひとりに無言で押し付けて、このままの状態を維持する為だ。
卑怯だってわかってる。
でも────。