リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜




スタジオから出ていく時、真鵺は再びモニターの映像に視線を移して、何かを言いかけた。





「あの…、」





だけどその後すぐに柊子さんもスタジオにやって来る。





「何してるの、真鵺?急いで!」





そう言って急かす柊子さんを追って、忙しくスタジオを出ていく真鵺。




だけど、やはり何か心残りがあるのか、一度こちらを振り返る。





どうしても、言いたい事があるのだろうか?





私がそれを訊ねようと口を開きかけた時、





「お疲れ、真鵺ちゃん。いってらっしゃい!」





一緒にモニターをチェックしていた監督の見送りの挨拶の声が響く。




その声がやたらとデカく、威勢がいいおかげで私の言葉は遮られ、真鵺に届く事は無かった。





「真鵺、今度は有名なモダンバレエの先生の舞台に出るんだって。これからその打ち合わせみたい。最近どんどん忙しくなるね…。一緒の時間がどんどん減っちゃう。」




心細そうに寧音はそう言って、私の腕にしがみついてきた。




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