リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
「え?違うの…?」
「高瀬社長のことよ。あの人もこのお店を接待の為や個人でよく利用しているの。」
一瞬、浮かれかけた自分が哀しかった。
「そりゃそうか…そうだよね。」
「別にがっかりすることないじゃない。朱理はまだ若いんだから、当然なの。これからどんどん有名になって人脈も増えればおのずと色んなところで引き立てにあずかるようになる。」
真剣な眼差しで私にそう説かれても、そんな未来はまだまだ先のことだろうな…って思った。
私は黙ったままガラスの器に盛られた料理をスプーンですくって口に運ぶ。
「…美味しい!」
出汁の効いたスープがジュレになったそれはこの冬の季節でも体を冷やさないように、ということなのか常温に近い冷たさが保たれていて、寒がりの私の疲れた身体に優しかった。