リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
ミルクティーを飲んでいた雫はカップから口を離し、静かにソーサーの上に戻す。
いつ見ても雫は所作が綺麗で品がいい。
私も見習わなくちゃ、と思う一方で、こういうのは一日二日で身につくようなものでもないんだって、…それは私にもわかる。
きっと、子供の頃からの積み重ね。
雫は良いご両親のもと、大切に育てられてきたんだろう。
今、希望のモデル仕事も手に入れて上り調子な上に、優しい彼氏までいる雫はさぞかし幸せな思いで生きているに違いない。
色々と不満を抱えている私とは心の豊かさが雲泥の差。
しかもこれからは恋愛を隠さなくてもよくなるわけだから、人生すべて自分の思い通り。
……それは言い過ぎか。
「ごめんね、胡兎。…それより先にちょっと私に話をさせてほしいの。」