リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
中性的な顔立ちながら、その圧倒的な意志の強さを秘めた目力はきっと誰もが彼こそがセンターに相応しいと認めるに違いないのだと、改めて見て気付かされたその顔は……、
「不破麗斗でしょ?この彼は。」
あの年末の若葉テレビのエスカレーター下から見上げた、親友である女優の響香と向き合う姿が載った番宣ボード。
確かにあの人物だった。
「へ…?あ〜そのセンターの子は不破君だね。私もいろんなドラマに出てるから知ってる。でも、朱理と噂になってるのはその隣の子だよ。」
「え、あぁ……。」
胡兎にそう言われても、私は何故か不破麗斗から目が離せなかった。
この日、私も早めに練習を切り上げることを決めていた。
雫の引っ越しの荷造りを手伝う為。
でも、さっき本人には言わなかったのはちょっとしたお祝いのサプライズだから。
胡兎にそれを伝えると、珍しく自分も行く、と言うので練習着から着替えて一緒に事務所を出る事になった。