リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
完全に怒りモードの顔に戻った私に、思いがけず、胡兎はとんでもない事を言い出した。
「いいのいいの!謝んないで〜!!和哉君は頭を上げて?あのねぇ、この子、朱理はね、これまでの人生で彼氏が出来たことがね、なんとね、一度も無いの!だからね、何が言いたいのかっていうとつまり、二人に焼きもち妬いちゃってるだけなの!!」
……………………。
何かが心の奥にグサッっと刺さる。
言われた事実に何も言い返せない私は、少なくとも恋愛っていうカテゴリに関しては確かに経験ゼロで間違いなかった。
そして胡兎の発言のおかげで、雫と和哉君はますます気まずそうな顔色を浮かべている。
私の怒りの気持ちの矢印は完全に胡兎に向けられるようになったけど、
当の本人は何食わぬ顔で話を続ける。