諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
 あの日には不可能だった形が叶ったのも恭平さんの協力はもちろん過去に培ってきた功績によるものだ。諦めないでよかったと思う。
 娘の恵茉は中等部に入ってからダンサーになりたいという夢を持つようになった。親子であれから何度か観に行ったフラメンコの舞台が彼女の夢のきっかけになっていた。
 私と恭平さんの間に授かった二人目の子は男の子だった。恵茉と真逆の季節である冬に生まれた彼の名前は千冬(ちふゆ)と名付けた。
 外交官である恭平さんと通訳である私の姿を見ていた彼は、仕事に誇りを持つ両親を見て、やがてパイロットになりたいと夢を描いたようだ。
「外交官になりたいと言われなくて残念でしたか?」
「それを言うなら君こそ」
 お互いに言い合いながら、大きくなった子どもたちに目を細める。そして恭平さんは彼らを励ました。
「大丈夫だ。君たちならきっと叶えられる」
 彼の言葉は柔らかく響く。
 いつも彼はそうして味方でいてくれる。
 四季が巡るように、晴れの日も雨の日も風の日も雪の日も、そうして人の人生が天気のように変わる日常の中、時にはくじけそうになるときも。
「人生には回り道することもあるかもしれないけれど、ひとつずつ叶えていこう」
 ……かつての私たちのように。
 家族にとって誇らしく頼もしい夫を、私は側で微笑みながら見守り続ける。
 ずっと私のヒーローだった彼。
「いつでも我々は君たちの味方だ」
 そして――。
 彼はこれからも私の最愛のヒーローで在り続けるのだ。












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