報復を最愛の君と
sideセレスト 〜初めて信じた人間〜
ボク達は神によって作られた能力者だった。
大地を守る銀狼、海を守る人魚、空を守る天竜。
そんなボク達に神様は言った。
『人間と能力者を束ねる神になりなさい』
ボク達は他の誰とも違う、圧倒的な能力を持って生まれた。
そして寿命もなく、永遠の時を過ごせる。
そんな神の能力者であるボクも、初めは人間と能力者がわかり合えるように頑張ってきた。
でも、現実はそう上手くはいかない。
人間は能力者を見た目で判断する。
理不尽に傷つけ、痛めつけ、まるで奴隷のように扱う。
——悪は人間だ。
いつしかそう思うようになった。
同じ初代の三大能力者のひとり、銀狼のセランも同じ意見を持っていた。
人間と仲良くできるわけがないって。
でも、ボク達の中で唯一意見が違ったのは人魚のカノンだった。
人間の“悪人”とはごく一部で、善人もちゃんといると言った。
そして、悪人には罰を下し人間と能力者が安心して暮らせる世界を作ろうと。
でも、そんなことはできないって言ったんだ。
人間はみんな偽善者と悪人ばかりだって、そう言ったんだ。
そして意見が割れて仲が悪くなってきた頃、カノンがひとりの人間の女の子を連れてきた。
名前はエクラ。
彼女を疑ったボク達はしばらくエクラを観察した。
でも、いつまで経ってもエクラは本性を現さない。
そんな彼女に、ボクは聞いた。
「ねえ、君はいつまで偽善者をやってるの?誰かと連絡を取ってるわけでもなさそうだし…。目的はなに?ボクらに取り入って何をしたいの?」
エクラはきょとんとした顔をした。
それから、ふわりと笑った。
「私は何もない人間です。天竜様や銀狼様、人魚様に危害を加えるつもりはありません。ただ、私はカノン様のお近くにいたいのです。私を救ってくれたあのお方に、少しでも恩返しをしたいのです」
「…バカバカしい」
ボクはそう言ってその場を後にした。
あの時、ボクは全て偽りだと思っていた。
でも、次の日人間達がボク達の村に攻めてきて——。
「急いで下級能力者を避難させて!!ボク達が出てくるから!上級能力者も加勢頼んだよ!」
カノンとセランを連れて襲撃を受けているところに向かった。
そこはすでにほとんどのものが壊されていて、ケガ人がいなかったのは不幸中の幸いだった。
そんな中、ボク達は全力で人間達と戦った。
そしてカノンがひとりの人間に首をはねられそうになったんだ。
ボクやセランじゃ間に合わない距離だった。
そんな時助けてくれたのは、エクラだった。
目の前に広がる血はたしかにエクラのもので、彼女の左腕が吹き飛んでいたのだ。
「クラ!!!待って、大丈夫よ。すぐに治療するから」
「カノン様…」
今にも死にそうな顔をしている。
どうして人間がカノンをかばったのか不思議だった。
でも、気が付いたんだ。
エクラは本当にカノンの仲間で、カノンを能力者としてではなくてただ信じていたんだって。
そのことを知ったボクは、もう一度人間を信じてみようって思えた。
気がついたら、ボクはカノンの力に加えてエクラの腕をきれいに再生させていた。
彼女を助けていたんだ。
でも、約1ヶ月後人達の奇襲によってボクは再び人間が嫌いになった。
せっかく信じて平和条約を結んだのに、人間達はこうも簡単に裏切り能力者を悪者に仕立て上げる。
許せない、絶対許さない。
人間はこの世に存在しちゃいけない。
そうしてボクは暴走してしまった。
大地を守る銀狼、海を守る人魚、空を守る天竜。
そんなボク達に神様は言った。
『人間と能力者を束ねる神になりなさい』
ボク達は他の誰とも違う、圧倒的な能力を持って生まれた。
そして寿命もなく、永遠の時を過ごせる。
そんな神の能力者であるボクも、初めは人間と能力者がわかり合えるように頑張ってきた。
でも、現実はそう上手くはいかない。
人間は能力者を見た目で判断する。
理不尽に傷つけ、痛めつけ、まるで奴隷のように扱う。
——悪は人間だ。
いつしかそう思うようになった。
同じ初代の三大能力者のひとり、銀狼のセランも同じ意見を持っていた。
人間と仲良くできるわけがないって。
でも、ボク達の中で唯一意見が違ったのは人魚のカノンだった。
人間の“悪人”とはごく一部で、善人もちゃんといると言った。
そして、悪人には罰を下し人間と能力者が安心して暮らせる世界を作ろうと。
でも、そんなことはできないって言ったんだ。
人間はみんな偽善者と悪人ばかりだって、そう言ったんだ。
そして意見が割れて仲が悪くなってきた頃、カノンがひとりの人間の女の子を連れてきた。
名前はエクラ。
彼女を疑ったボク達はしばらくエクラを観察した。
でも、いつまで経ってもエクラは本性を現さない。
そんな彼女に、ボクは聞いた。
「ねえ、君はいつまで偽善者をやってるの?誰かと連絡を取ってるわけでもなさそうだし…。目的はなに?ボクらに取り入って何をしたいの?」
エクラはきょとんとした顔をした。
それから、ふわりと笑った。
「私は何もない人間です。天竜様や銀狼様、人魚様に危害を加えるつもりはありません。ただ、私はカノン様のお近くにいたいのです。私を救ってくれたあのお方に、少しでも恩返しをしたいのです」
「…バカバカしい」
ボクはそう言ってその場を後にした。
あの時、ボクは全て偽りだと思っていた。
でも、次の日人間達がボク達の村に攻めてきて——。
「急いで下級能力者を避難させて!!ボク達が出てくるから!上級能力者も加勢頼んだよ!」
カノンとセランを連れて襲撃を受けているところに向かった。
そこはすでにほとんどのものが壊されていて、ケガ人がいなかったのは不幸中の幸いだった。
そんな中、ボク達は全力で人間達と戦った。
そしてカノンがひとりの人間に首をはねられそうになったんだ。
ボクやセランじゃ間に合わない距離だった。
そんな時助けてくれたのは、エクラだった。
目の前に広がる血はたしかにエクラのもので、彼女の左腕が吹き飛んでいたのだ。
「クラ!!!待って、大丈夫よ。すぐに治療するから」
「カノン様…」
今にも死にそうな顔をしている。
どうして人間がカノンをかばったのか不思議だった。
でも、気が付いたんだ。
エクラは本当にカノンの仲間で、カノンを能力者としてではなくてただ信じていたんだって。
そのことを知ったボクは、もう一度人間を信じてみようって思えた。
気がついたら、ボクはカノンの力に加えてエクラの腕をきれいに再生させていた。
彼女を助けていたんだ。
でも、約1ヶ月後人達の奇襲によってボクは再び人間が嫌いになった。
せっかく信じて平和条約を結んだのに、人間達はこうも簡単に裏切り能力者を悪者に仕立て上げる。
許せない、絶対許さない。
人間はこの世に存在しちゃいけない。
そうしてボクは暴走してしまった。


