【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい

　あの人は東京の大手企業にお勤めの、操縦士という特別な仕事をしているサラリーマンだ。人付き合いが上手だから、リップサービスも上手なだけなんだ。きっとそうだ。

　操縦士という特殊な職業のせいで、元々顔立ちの整ったイケメンだけど、そのイケメンフィルタが過剰に掛かって見えただけだ。本気で言葉の通りの意味合いだと思わないほうがいい。

　自分にそう言い聞かせながらも、その半面で彼の魅力を素直に認めている自分もいる。

　顔立ちはもちろんのこと、立ち姿もサマになっていたし、何気ない気配りができる、本当に素敵な人だったな……

　母の店を出てから、ほんのひと時一緒に過ごしたことを思い出しながら、髪の毛が乾くとドライヤーのスイッチを切り、コンセントを抜く。

　髪の毛の水滴で濡れないよう、首周りに掛けていたタオルとともに洗面所へ持って行くと、タオルを洗濯機の中へ、ドライヤーを元の位置に戻して再びリビングへ向かった。

　明日、職場へ持って行くお土産のお菓子と、内子町に住む姉一家用のお菓子、姪の桜子のシール帳を一か所にまとめて、自分のわかる場所へ置く。

　自宅用のお土産は、包装を外して箱を開け、ダイニングテーブルの上に置く。
　これでミッション完了だ。

　私は荷物を持って、自分の部屋へ移動した。

　今日は本当にいろいろなことが起こったな……

　部屋に戻り、荷物を片付けてベッドの上に横たわり目を閉じていると、いつの間にか次の日の朝を迎えていた。