【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい

　これからいつも通りの日常が始まる。
　あれは非日常体験だ。気持ちを切り替えようと、私は勢いよく身体を起こすと、出勤の支度を始めた。

　職場でオーナーに有給のお礼を伝え、休憩室にお土産のお菓子を置いておくと、休憩時間にみんなから結婚式どうだった？　上京ついでにどこか観光した？　などと質問攻めにあった。

　金曜日の仕事終わりに上京し、土曜日が結婚式、日曜日の帰省だからそこまでスケジュールに余裕はなく、慣れない土地での移動にアタフタしていてそれどころではなかった。

　結婚式が終わった土曜日の夜に横浜中華街を散策し、翌朝ホテルをチェックアウトする前に、山下公園周辺を散策したくらいだ。都内もいろいろ行きたかったけれど、今回は時間が足りなくて、横浜のみの観光となった。都内観光は、いつになるかわからないけれど次回のお楽しみに取っておこう。

　そう伝えると、みんなも頷いてくれる。

「そうよ、都会はいつ行っても楽しいもん。刺激が強すぎて、こっち帰ってきたら何もないやん！　って思うんよね」

　その言葉に私も激しく同意した。

　都会は交通インフラも整っているし、ものも情報も溢れている。それだけに、松山に戻ってくるとホッとする反面、何もない田舎だと痛感する。