【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい
「明日は、何時頃に出発します?」

 私はようやく身体を起こすと、ベッドから立ち上がり、服を放り投げた隣のベッドへと向かった。

「起きた時に。……って、何、梢子帰るの?」

「え、だって服を着替えなきゃだし、化粧も取れてしまってるから、自宅でゆっくり休んで明日に備えなきゃ……」

 藤川さんは、私がこのままここに泊まると思っていたようで、驚いた表情を浮かべた。
 できることならそうしたいけれど、着替えもないのにお泊まりなんでできるわけがない。

「また明日、ホテルまで迎えに来ますので、チェックアウトできるように準備しておいてくださいね」

 私の声に、渋々ながら頷く藤川さんが、なんだかちょっと可愛く見える。

「まだ身体、辛いだろう? もう少しゆっくりしていくといい」

 藤川さんはそう言って服を着ると、お茶を買いに行くと言って部屋を後にした。

 藤川さんが部屋を出て行って、ようやく一人になると、それまで起こったことが夢なんじゃないかと思って、両手で自分の頬をパチンと叩いた。
 頬の痛みに加え、下腹部の鈍痛と、まだ私の中に藤川さんの存在があるような錯覚すらある。初めての感覚ばかりで、これが現実なのだと否が応でも認めざるを得ない。

 藤川さんはゆっくりしていてと言うけれど、戻ってきた時に私だけ裸なのも恥ずかしい。

 ベッドの上に放り投げられた下着と服に袖を通し終えたところで、ちょうど藤川さんが部屋に戻ってきた。
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