蓮音(れおん) ―君に遺した約束―

『2人の夜』


ーー

高台に広がる夜景は
まるで宝石みたいに
きらきらと輝いていた。

 

静かで
ふたりだけの世界。

 

 

「……綺麗だね」

 

私がそう呟くと
蓮はゆっくり横を向いた。

 

「…ああ」

 

その声は
いつもより少しだけ優しくて

 

鼓動が
自然と早くなる。

 

 

「…最近さ」

 

蓮が口を開いた。

 

「お前と会うたびに
自分でも分かんなくなること多くなった」

 

私は
そっと顔を上げた。

 

「……何が?」

 

「全部捨てて
どこか行けたら…とか、考えちまう」

 

蓮の目が
少し揺れていた。

 

 

その言葉が
胸にあたたかく広がっていく。

 

「……行こうよ」

 

私は
自然と笑ってた。

 

「蓮くんとなら
どこでも行ける」

 

蓮は少しだけ驚いた顔をして
ふっと小さく息を吐いた。

 

「お前さ…危機感なさすぎ」

 

「違うよ」

 

私はそっと
蓮の手を握った。

 

「だって、蓮くんがいるから
怖くないの」

 

 

その瞬間

 

蓮がゆっくりと
私の手を引いた。

 

そして
そっと抱き寄せる。

 

 

「…ほんとに後悔しねぇんだな?」

 

低く
優しい囁き。

 

私は目を閉じたまま
小さく頷く。

 

「…うん、後悔なんかしない
 ...蓮くんがいいの」

 

 

そのまま
ゆっくりと唇が重なった。

 

優しくて
でも深くて

 

ふたりの心が
静かに溶け合っていく。

 

 

蓮はそっと
私の身体を持ち上げるように抱き上げる。

 

誰もいない
静かな夜の中

 

小さな建物の陰に隠れるように
二人の影が重なっていく。

 

 

蓮の指先が
優しく背中をなぞった。

 

呼吸が合わさるたびに
身体が熱くなっていくのがわかった。

 

「……全部、預けろ」

 

耳元で低く囁く蓮の声が
甘く心を震わせた。

 

 

この夜

ふたりは
ゆっくりと身体を重ねていった。

 

ーー
< 9 / 25 >

この作品をシェア

pagetop