『夢列車の旅人』 ~過去へ、未来へ、時空を超えて~ 【新編集版】
(5)
映像が消えたディスプレーをわたしはボーっと見ていた。
なんだかとても疲れていて、力が抜けたようになっていた。
それは彼女も同じだろうと思って隣を見たが、それどころではなかった。
その目から生気が消えているように見えたのだ。
まるで体から魂が抜けているみたいだった。
もしかして『小椅子の聖母』に引き寄せられて戻って来られないのだろうか?
そうだとしたらマズイ。
このままにしておくわけにはいかない。
とっさに彼女の体を大きく揺さぶって名前を呼んだ。
「絵美さん!」
しかし、魂は戻って来なかった。
生気のない眼が前を見つめているだけだった。
「絵美さん!」
もう一度呼んで右手の甲で頬を叩いた。
それでも効果はなかった。
精神と肉体が完全に分離しているように思えた。
その後もひたすら体を揺すって名前を呼び続けたが、なんの反応もなかった。
わたしはパニックに陥り、どうしていいかわからなくなった。
「誰か助けてくれ!」
声の限りに叫ぶと、連結ドアが開いてロボコンが現れた。
「ピピパポピパポピパピポピパ」
音と共にディスプレーに難しい数式が並んだ。
すると、間を置かずにロボコンの胴体から超小型の電極パッドのようなものが現れ、アームでそれを彼女の額に貼り付けた。
「ピピピピピピピピピッ!」
電極が光ると同時に彼女の体がガクンと揺れた。
その瞬間、彼女の目に生気が戻った。
「もう大丈夫!」
そう言い残して、電極パッドを回収したロボコンが連結ドアの中に消えた。