『夢列車の旅人』 ~過去へ、未来へ、時空を超えて~ 【新編集版】
(13)
連結の自動ドアが閉まった瞬間、またもわたしの魂が移動し、〈未来行き電車〉に戻っていた。
まだ『2080年駅』に停車したままだった。
車内は冷凍庫の中のように凍りついており、人間が生存できる環境は失われていた。
そんな状態の中、徳島絵美とわたしは抜け殻のままシートに座っていた。
彼女の魂はどこにも見当たらなかった。
しばらくして、ドア上のディスプレーに『2080年7月7日午後』という表示が表れ、時を刻み始めた。
13:00 13:01 13:02 ………………、18:18。
そこで時が止まった。
すると、元徳島絵美の目に光が灯った。
呼応するようにシートの前の壁がディスプレーに変化し、生まれたばかりの赤ちゃんの映像を映し出した。
その瞬間、元徳島絵美の体が赤ちゃんに変わった。
可愛い女の子だった。
徳島絵美は生まれ変わったのだ。
すると、ディスプレーに名前が表示された。
『天照美輝』
と同時に車内が一気に明るくなり、暖かくなると共に時が動き始めた。
18:19 18:20 18:21…………、
そんな中、天照美輝の目は隣に座る抜け殻のわたしを見つめていた。
身動き一つしないわたしをじっと見つめていた。