君ともう一度、 恋を始めるために
「それで、どうする気だ?」

玲奈の悪だくみが露見した今、この先どうするのかと恭介が聞いている。

「玲奈と話をしないといけないだろうな」

玲奈が何もしなければ、柚葉と莉奈の人生は今と違うものになっていた。そう思うと、恨めしい気持ちはある。
しかし涼自身もそのことに気づかなかったのだし、柚葉に打ち明ける機会を与えてやらなかったのも涼だ。

「速水不動産と神崎ホテルグループ、簡単に切れる関係ではないぞ」
「わかっているさ」

先々代である祖父の時代から続く速水不動産との関係はとても深い。
不動産業である速水家とホテルを営む神崎家は常に協力し合って激動の時代を生き抜いてきた。
当然、現社長であり玲奈の父でもある速水のおじさんとも面識があり、子供の頃からかわいがってもらった。
速水のおじさんとうちの父との間で子供同士が一緒になってくれればいいのにと話をしているのも知っていた。
だからこそ玲奈の行動に見て見ぬふりをしてきたが、もう放っておくことはできない。
涼は玲奈と会って話をしようと決心した。
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