君ともう一度、 恋を始めるために

「涼、久しぶりね」
「ああ」

涼が玲奈と待ち合わせをしたのは都内にあるホテルのラウンジ。
いつものようにブランド物の服で着飾った玲奈は、約束の時間ちょうどに現れた。

「その後、体の調子はどうなの？」
「大丈夫だ。その節は見舞をありがとう」
「いいのよ、当然のことだわ」

涼がヨーロッパ出張中に倒れ日本に搬送された時、玲奈は毎日見舞に来てくれた。
当時は体調が悪くあまり話もできなかったが、病院に出入りする様子は毎日のようにネットニュースに取り上げられていた。

「ところで、君はいつから藤崎柚葉を知っていたんだ？」
「え？」

挨拶もそこそこに涼の口から柚葉の名前が出たことで、玲奈の表情が硬くなった。