君ともう一度、 恋を始めるために
「さぁ、莉奈ちゃん帰る支度をしようか」

涼と一緒に食事を済ませてからしばらく遊んだり絵本を読んだりした後、夜7時になるとシッターが迎えに来て祖母の家に帰って行くのが莉奈の日課。
もともと明るく人見知りもしない莉奈は、わがままを言って涼を困らせることもなかったのだが・・・

「えー」

なぜか今日は、不満そうに唇をとがらせる。

「どうかした?」

初めて見た莉奈の様子に涼の方が困惑した。

「今日は、莉奈もここに泊まる」
「それは・・・」

小さな子供のことだから、突然母親が恋しくなるのも不思議なことではない。
莉奈が望むならここに泊まっても問題ないのかなと思いながら、いつもとは違う莉奈の態度が涼は気になった。
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