Good day ! 4【書籍化】
翌月の8月、第一次試験の合格発表の日。
朝の10時にホームページ上で合格者の受験番号が発表されるのを、4人でドキドキしながらパソコンの前で待つ。

「よし、いくぞ」

時計の針が10時を回ったのを見て、翼がマウスをクリックした。
固唾を呑んで見守るが、アクセスが集中しているのか、なかなか表示画面が変わらない。

「うーん、しばらくは無理かな」

何度も更新を繰り返しながら翼がそう言った時だった。
パッと画面が変わり、番号がずらりと表示される。

「あっ、あった!」
「俺もだ!」

舞と翼が即座に声を上げた。

「え、どこ?」
「ほら、ここ。私がこれで、お兄ちゃんがこれ。あ! 翔くんも受かってる」
「ほんと? すごい!」

ようやく恵真は笑顔になり、大和と顔を見合わせる。

「よかったー、ホッとした」
「ああ。よくがんばったな、二人とも」

大和が翼と舞の頭をクシャッとなでた。

「うん。でもまだ三次試験まで残ってるけどね」
「とにかく今日はお祝いだ。お寿司がいいか?」

うん!と二人は満面の笑みで頷いた。

美味しいお寿司を食べながら、合格の喜びを噛みしめる。

「次は身体検査か。来月は視力、呼吸器系、聴力、血液とかで、それをパスすれば12月に脳波だっけ」
「項目がすごく多いから、引っかからないかちょっと心配」

そう言う二人に、恵真は笑顔で頷いてみせた。

「大丈夫、そこに関してはお母さんの出番よ。お父さんもお母さんも普段航空身体検査を受けてるから、いつも食事に関しては気を配ってるの」
「ああ。おかげで俺、一度も再検査になったことないぞ」

大和の言葉を聞いて、二人は安心したように笑みを浮かべる。

「とっても助かる。ね、お兄ちゃん」
「そうだな。それに俺たち双子なのに、生まれた時から大きな病気もせずに育ててもらった。お母さんには感謝してる」
「うん、本当にそう。パイロットをしながら双子を育てるなんて、すごく大変だったでしょう? ありがとう、お母さん。お父さんも」

思いがけない言葉をかけられ、恵真も大和も胸が詰まった。

「二人の方こそ、元気に大きくなってくれてありがとう。家族旅行やおでかけも、ほとんど連れて行ってあげられなくてごめんね」
「本当にいい子に育ってくれた。何も心配いらない。翼も舞も、自分の思う道を真っ直ぐに進んで行きなさい」

二人は「はい!」と笑顔で答えた。
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