蛍火のような恋だった
外が暗いせいもあって、廊下は仄暗く、ちょっとだけ不気味さを纏っている。
ほとんどの生徒は下校したか部活に向かったかで、職員室に向かうまで誰ともすれ違わなかった。
「失礼しました」
職員室のドアを閉めて、昇降口に向かう。
今日一日、足元ばかり見ていた気がする。
昇降口に来れば、雨の音がはっきりと聞こえるはずなのに、今はそれが遠くに聞こえる。
靴を履いて、カバンから傘を取り出す。
傘を開こうとしたとき、足元に見慣れた運動靴が見えて、はっと顔を上げた。
「………なんで」
私は思わず呟く。
カバンの肩掛けを力強く握りながら、中島くんが立っていた。
「…待ってた。岸田のこと」
ぼんやりしながら日誌を書いていたせいで、ずいぶん時間がかかったのに。
その間、ずっと待ってたってこと…?
「あのさ…今日、家来ないか」
「………え」
中島くんは、視線をそらさない。
まっすぐに、ぶつけてくる。