蛍火のような恋だった

はしゃぐ私を、柔らかい瞳で見つめる中島くん。

その顔をみて、自分はやっぱり中島くんが好きなんだと感じる。

それから私たちは射的で勝負をしたり、りんご飴を食べたり、夏祭りでしかできないことを沢山した。

「あ、中島くんあそこで金魚すくいやってるよ?」

変わらず私の手を引いていた中島くんが、ぴたりと止まった。

「…中島くん?」

中島くんが、振り返る。

「あのさ、名前、苗字じゃくて…この前みたいに、名前で呼んで欲しい。俺も岸田のこと、蛍って呼びたい」

「…わかった。じゃあ、凪くんって呼ぶね」

それに応えるように、握る手に力を込める、凪くん。

それから私たちは人混みから離れたところで少し休むことにした。

「下駄で歩いたから、足疲れてないか?」

「ううん、全然平気。私お祭りとか初めてで、ずっと憧れてたんだ。だからお祭りに来れたの、まだ夢見てるみたい」

夜空に広がる星を見上げて呟く。

「夢じゃない。蛍とだから、俺も楽しい。…あのさ、蛍に見せたい場所があるんだ。まだ歩けるか?」

「あ、うん。どこに行くの?」

「行けばわかる」

少しイタズラ気に笑った凪くんが振り返る。

もう人混み関係なく手を繋ぐ私たちは星空の下をふたり並んで歩き出した。



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