幼なじみに溺れました
第2章

崩れて行く距離感


ーーー


 


 

「おはよ」

 

「…おはよう」

 

相変わらず毎日話しかけてくる凪

もう無視するという選択肢は自然と消えていた

むしろ

この声が聞こえない日の方が怖い

 

そんな自分に気付くたび 余計にイライラする

 

「今日も暗い顔してんな」

 

「うん…ちょっとね」

 

「俺でよかったら聞こうか?」

 

「なんで?」

 

「んー…なんとなく」

 

「誰のせいと思ってんのよ」

 

「怒んなよ」


腹立たしいのに

今日はいつもとちがって

優しさ見せる凪に

心臓はまた跳ねる

 

沙耶と結愛は相変わらず後ろからニヤニヤしてた

 

「もうさ 完全に凛だけ狙ってるよね」

 

「ね 絶対そうだって」

 

「そんなわけないって」

 

「ないわけある?毎日じゃん」

 

凛は無理に笑ってごまかすしかなかった

 

でも

もう正直 自分でも何がなんだかわからなくなり始めていた

 

放課後

教室に残ってプリント整理をしていると
また後ろからあの声が飛んできた

 

「なあ 今日さ 暇?」

 

「…なんで?」

 

「んー 別に」

 

「意味わかんない」

 

凪は机に片肘をついたまま凛を見上げた

その目が今日は少しだけ真面目に見えた

 

「飯行こうぜ」

 

「…は?」

 

「腹減った」

 

「勝手に行けばいいじゃん」

 

「お前と食いたい気分」

 

「…なんで私?」

 

「なんでダメ?」

 

「別にダメじゃないけど…」

 

「じゃ 決まり」

 

凪はあっさり立ち上がって鞄を肩にかけた

そして自然に凛の鞄を持ってくる

 

「ほら 行くぞ」

 

「ちょっと 勝手に持たないで!」

 

「重くねーから」

 

勝手に距離を詰めてくる

当たり前みたいに隣を歩いてくる

 

心臓がバクバクしてるのを隠しながら
凛は無言で歩くしかなかった

 

(ほんと 意味わかんない)

 

でも
もうずっと その”意味わかんない”の中で泳がされ続けている気がしていた

 

ーーー

 
< 15 / 63 >

この作品をシェア

pagetop