幼なじみに溺れました

怖いくらいに好き


ーーー


 

翌週

学校全体に2人の関係が完全に知れ渡った

もうヒソヒソですらなく
教室の空気ごとざわざわしてる状態

 

「凛ちゃんってさ…最初から計算してたって話だよ」

「ほら凪くんってああいうタイプだし」

「堂本先輩とも最近話してたじゃん?」

 

聞こえてくる言葉は全部勝手な妄想ばかりだった

でももう慣れてきた

 

…はずだったのに

今日はやけに胸の奥がザワついていた

 

放課後

昇降口に出ると

そこに堂本が待っていた

 

「…また…」

 

堂本は軽く笑って歩み寄ってくる

 

「ちょっとだけ話せる?」

 

「…もう無理です」

 

「すぐ済むから」

 

無理矢理引き止められた瞬間

背後から低い声が落ちた

 

「おい」

 

振り返らなくてもわかった

凪だった

 

ゆっくりと歩いて堂本の正面に立つ

 

「お前…ほんとにしつけえな」

 

堂本ももう作り笑いをしなくなっていた

 

「別に諦めたわけじゃない」

 

「諦めろ」

 

「凪 お前ほんと独占欲強いよな」

「全部囲って持ってくタイプ?」

 

「そうだよ」

 

凪は一切迷わず即答した

 

「俺は全部欲しい」

 

「凛も お前みたいなのに隙見せねえから」

 

「…まあ そのうちどうなるかはわかんないけどね」

 

堂本はそれだけ吐き捨てて去っていった

 

残った凪はそのまま静かに凛の腕を掴む

 

「……怖かった?」

 

「…怖かったよ」

 

「ごめん」

 

「…でも」

凛は言葉を詰まらせながら続ける

 

「私の方こそ…なんか最近 自分でも怖いくらい…」

「凪のこと 好きすぎて怖い」

 

凪はゆっくりと目を細めて優しく笑った

 

「いいじゃん 別に」

 

「…こんなに執着してる自分 初めてで…」

 

「俺もだから」

 

「…っ」

 

「お前が誰かと喋ってんの見るだけでムカつくし」

「堂本がちょっかい出してきた時なんか 殺してえくらいだった」

 

「凪…」

 

「お前が怖がる必要なんかねえ」

「全部 俺が抱えてやるから」

 

そう言って凪は
人目も気にせずそのまま凛の額にキスを落とした

 

「俺の全部は お前だけ」

 

その言葉が静かに胸に染み込んでいく

嬉しくて苦しくて

目の奥がじんわり熱くなる

 

(ほんと…もうどうしようもないくらい)

(好き)

 

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