幼なじみに溺れました
第6章

甘い支配


ーーー



 

堂本の件も完全に終わり
学校のザワザワも少し落ち着いてきた

でも今度は別の緊張が凛を襲っていた

 

(…ついに今日だ)

(家に…凪が来る…)

 

夕方

部屋の掃除も終わり 落ち着かないまま玄関前で待っていると
ピンポンが鳴った

 

「…来た…」

 

玄関を開けると
そこにはいつもと変わらぬ涼しい顔の凪が立っていた

 

「よ」

 

「…い、いらっしゃい」

 

「緊張してんの?」

 

「してないし!」

 

「嘘下手」

 

当たり前のように靴を脱いで家に上がる凪

 

「お邪魔します言いなさいよー」

 

「もう今さらじゃね?」

 

「…まあ そうだけど」

二人きりになると心臓がうるさく鳴り始める

 

「なんかお前の部屋って…」

 

「…なに?」

 

「お前っぽい」

 

「どんな感想!?」

 

凪はベッドに腰を下ろして
自分を見上げる凛をじっと見つめた

その目が妙に意地悪で

 

「…なに?」

 

「いや」

 

「いやって何よ」

 

「この距離感 久々で面白いなって」

 

「からかわないで…」

 

凪は立ち上がり ゆっくりと凛の前に立った

そして不意に距離を詰める

 

「な、なに…?」

 

「顔真っ赤」

 

「うるさい…」

 

「可愛い」

 

「も、もう…!」

 

そのまま凪は両手で凛の頬を包み込み
至近距離で囁いた

 

「俺さ」

「お前が焦ってる顔見るの 一番好きなんだよな」

 

「…意地悪…」

 

「お前が俺のことだけ好きで苦しくなってる顔がさ」

「めちゃくちゃ愛しくて たまんねぇ」

 

「……」

 

言葉が出ない

心臓が爆発しそうだった

 

凪はゆっくりと唇を寄せて
そっと凛の唇を甘く塞いだ

 

深く長く 甘くて意地悪なキスだった

 

「……っ」

 

離れた瞬間

凛の膝が軽く震えそうになる

 

「…ほんとに ずるい」

 

「俺 ずっとそうだろ?」

 

「…うん…」

 

凪はそのまま凛を優しく抱き寄せた

背中に回された腕の強さが妙に安心して

そのまま胸に顔を埋めた

 

(ほんとに…この人だけだ)

(全部 転がされてるけど)

(それでも…幸せすぎる)

 

ーーー

 
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