幼なじみに溺れました
第9章

揺さぶられる独占欲


ーーー


 

ある日 放課後の帰り道

凛と凪が並んで歩いていると
前方から見知らぬ女子がこっちに向かってきた

 

明らかに学校の制服ではない
他校の生徒っぽい女子

 

「あの…凪くん?」

 

「…あ?」

 

凪が軽く振り返る

 

「やっぱり…!久しぶりだね 凪くん」

 

凛は一瞬固まった

 

(誰…?)

 

女子は嬉しそうに笑いながら続けた

 

「中学の時 同じ塾だった千紗だよ!覚えてる?」

 

「ああ…千紗か」

 

凪は少しだけ口元を緩める

 

(あ…知り合いなの…)

 

「高校こっち来てたんだ?びっくりした!」

 

「まあな」

 

「今度さ、久しぶりにご飯でもどう?色々話したいし」

 

(……)

 

凛の胸の奥がズクンと痛んだ

目の前で堂々と誘われてることに
思わず拳が強く握りしめられる

 

「…いや 俺彼女いるから」

 

凪はあっさりと断った

 

「あっ…そっか」

千紗はわざとらしく凛の方に目を向けた

 

「もしかして…そちらが?」

 

「…はい 凛です」

 

「そっかー でも凪くんって昔からモテてたもんね」

「正直うちの学校でも噂になってたんだよ?顔広いって」

 

(は?)

(何その嫌味…)

 

千紗はわざとらしく笑って手を振った

 

「ま、またどこかでね 凪くん」

 

そのまま去っていく千紗

 

残った凛の胸の中はもうグチャグチャだった

 

「…誰なの あの子」

 

「中学の塾一緒だったやつ」

 

「仲良かったの?」

 

「別に」

 

「でも ご飯誘われてたよね」

 

「断ったろ」

 

「……」

 

「もしかして嫉妬してんの?」

 

「してない…!」

 

「嘘下手」

 

凪はニヤッと笑うと
歩きながらそっと凛の腰を引き寄せた

 

「なあ」

 

「…なに」

 

「お前ってほんとわかりやすいよな」

 

「うるさい…!」

 

「でもそういうお前が可愛くてたまんねえ」

 

耳元で囁かれた瞬間
心臓がバクッと跳ねた

 

(ほんとに…もう…!)

(ずるい…)

 

ーーー

 
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