幼なじみに溺れました

初デート



ーーー



 

ある日の放課後

 

「なあ 凛」

 

「ん?」

 

「今度の日曜、予定空けとけ」

 

「え?」

 

「デート」

 

「……っ」

 

一瞬で顔が熱くなるのが分かった

 

「い、いきなり…」

 

「今までちゃんと外でデートしてなかっただろ」

 

「それは…」

 

「たまには堂々と外連れ回す」

 

「れ、連れ回すって…!」

 

凪はニヤっとだけ笑ったまま歩き出す

心臓はその日からずっと落ち着かなかった

 

ーーー

 

当日

待ち合わせの駅前に着くと
すでに凪は先に来て待っていた

私服の凪は制服の時以上に雰囲気が違って見えた

 

白のゆるめのニットに黒のスキニー

無造作な髪がまた妙に色気を出してて

 

(…反則すぎる…)

 

凪は軽く片手を上げて合図する

 

「よ」

 

「…お、待たせ…」

 

「可愛いな今日」

 

「う、うるさい…」

 

「彼氏が可愛いって言ってんだろ」

 

また心臓が跳ねる

 

ショッピングモールを歩き
服を見たり カフェに寄ったり

周りの視線も自然と集まってた

 

(絶対女子たちこっち見てる…)

(でも…なんか誇らしい…)

 

凪はふと歩くスピードを緩めた

 

「なあ」

 

「ん?」

 

「お前さ」

「こうやって外で堂々と歩くの 嫌じゃない?」

 

「…全然嫌じゃない」

「むしろちょっと…嬉しい」

 

「だろ?」

 

凪は不意に指を絡めて手を繋いできた

 

「ひ…!」

 

「抵抗すんなよ」

 

「ひ、ひと目あるって…!」

 

「だからいいんだろ?」

 

そのまま手を強く握り込まれる

 

(ほんとに…ずるい…)

 

カフェで席に着くと
凪はじっと凛の目を見つめてきた

 

「な、何?」

 

「いや」

「たまにこうやって堂々と隣にいんの悪くねえなと思って」

 

「……」

 

「もっと甘えていいぞ?」

 

「…もう甘えてるよ」

 

「足りねえ」

 

「……っ」

 

凪はゆっくり身を乗り出して小声で囁く

 

「お前 俺に溺れていいんだからな?」

 

その声が妙に低く甘く響いて
顔が真っ赤になったまま目を逸らした

 

(ほんとに…この人には勝てない)

 

ーーー

 
< 47 / 63 >

この作品をシェア

pagetop