幼なじみに溺れました
第10章
独占の証
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それから数日
凛の中のドキドキは落ち着くどころか
むしろ毎日更新されていく感覚だった
(あの日から…)
(なんかもう、私の中で完全に凪が全部になってる)
(怖いくらい好きって言ったのに)
(あの人 全然ブレないで受け止めてくれるし…)
その日の放課後
昇降口を出たところで凪が待っていた
いつもと変わらないようで
でも何か少しだけ空気が違っていた
「帰るぞ」
「うん…」
並んで歩き出すと
凪がふとポケットから小さな紙袋を取り出した
「ん」
「え?」
「受け取れ」
凛は戸惑いながら袋を開ける
中から出てきたのは
細いシルバーのシンプルなブレスレットだった
小さく刻まれたプレートには
ふたりだけに分かるような小さなイニシャルが彫られていた
「…これ…」
「お前の」
「え…でも…」
「独占の証」
「……」
「俺のもある」
凪は自分の手首にも同じブレスレットをして見せた
「お揃い…」
「文句ある?」
「…文句なんてあるわけない…」
胸の奥が一気に熱くなる
「これ付けてる限り 他の奴は絶対寄らせねえから」
「……」
「お前も誰かに見せびらかせ」
「…恥ずかしい…!」
「いいから」
凪はそのまま凛の手首にそっとブレスレットをはめた
肌に当たる冷たい金属の感触が
じんわり熱を帯びていく
(ほんとに…独占されてる)
(でもそれ以上に…私も独占してる)
(お互いに…)
凪は少しだけ顔を寄せて
誰もいない校門前でそっとキスを落とした
「お前だけな ずっと」
「……うん」
心臓は暴れっぱなしだった
でももう それが当たり前になっていた
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