幼なじみに溺れました
プレゼント?
ーーー
会場に着くと
すでに色とりどりの屋台が並んでいた
「わ…すごい人…」
「こっち来い」
凪は自然に手を引いて人混みの中を進む
りんご飴にチョコバナナ
焼きそばの匂い
金魚すくいの水面の反射
夏の夜の屋台は
どこを見てもキラキラして見えた
「なあ 凛」
「ん?」
「りんご飴食う?」
「…い、いいの?」
「俺も食べたいし」
凪はあっさりと屋台のおじさんに声をかけ
赤くて可愛いりんご飴を手渡してくれた
「はい」
「…ありがと…」
凛はりんご飴を受け取ると
その大きさに少し戸惑いながらもかじりつく
「ん…甘い…」
「お前…可愛いなほんと」
「いちいち言わないで…!」
さらに今度は金魚すくいの前で立ち止まる
「やってみる?」
「え、無理だよ私…!」
「じゃあ俺が取ってやる」
凪は真剣な顔でポイを構えた
凛は横で手を握りしめながら見守る
「…がんばれ…!」
何度かすくって――
「ほら 取れた」
「わ…ほんとに…!」
すくい上げられた金魚が
小さく水の中で泳いでいる
「これ プレゼント」
「え…!?」
「飼えよ 金魚」
「俺が取ったやつな」
「……」
「…大事にする…!」
凛は思わず笑顔になっていた
(…こうやって いつも甘やかしてくる…)
(ほんとに…好き)
ーーー