幼なじみに溺れました
第13章
聖夜の溺愛
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冬の夜風は冷たく
でも手を繋いで歩く凪の手は驚くほどあたたかかった
街の通りには色とりどりのイルミネーションが飾られ
クリスマスソングがあちこちから流れていた
「ねえ、あそこも綺麗だね」
「お前が綺麗だろ」
「もう…!」
「ほんとなんだけどな」
横断歩道の信号待ち
凪はそのまま凛のマフラーを軽く引き寄せて
「風邪ひくぞ」
「だ、大丈夫だもん…」
「お前はすぐ無理する」
そう囁きながら
マフラーの隙間から首元にそっと唇を落とされた
「ひゃ…!」
「ふふ」
信号が青に変わると
また自然に手を引いて歩き出す
目的地は 今年予約してくれたレストラン
落ち着いた照明の中
テーブル席に向かい合って座る
店内にも小さなクリスマスツリーが飾られていて
赤と緑の装飾がふたりの雰囲気を柔らかく包んでいた
「…ねえ凪」
「ん?」
「クリスマスって、特別だね」
「まあな」
「去年は想像もしてなかったよ、こうやって一緒にいるの」
「俺は」
「…え?」
「俺は こうなる未来、最初から決めてたけど」
「…っ…!」
「お前を離す気なんて最初からねえし」
「ほんとに…ずるい」
「ずるくていい」
ふたりは自然に微笑み合っていた
食事を終えて店を出ると
ふたたび冷たい夜風が頬に当たる
でも凪は迷わず凛の肩を抱き寄せた
「寒い」
「俺が温めるからいいだろ」
歩きながら
凪が小さな紙袋を手渡してきた
「これ プレゼント」
「え…?」
中を開けると
シンプルなハート型のペンダントが入っていた
「…っ…!」
「これで もっとお前は俺のもんだ」
「もう…ほんとにずるい…!」
「そう言いながら 嬉しそうじゃん」
「だって…」
「俺も同じだ」
凛はペンダントをそっと胸元に当てながら
赤くなった頬を隠すようにうつむいた
(ほんとに…幸せすぎて怖いくらい)
(でも…この人がいれば 大丈夫)
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