犬猿の仲でも溺愛が止まりません!



夜は高級料亭とのことだが、
昼は確かにお手頃な値段でランチもやっており、
夏希はビビりながらも天丼を大盛りで頼み、立派に平らげた。

「やっぱり伊藤は凄いて!こんなちっこい身体によぉ入ったわ!」
佐原も嬉しそうだ。
「夏希ちゃんがモリモリ食べるの見てたら、私もいつもより沢山食べれたわ」
と百合。
「めっちゃくちゃ美味しかったです!海老天とかもープリップリで……」
と、夏希は思い出して頬を赤らめていた。


「こんな時に明るく元気な子が来てくれるとなんだか心が暖かくなるわ……」
と百合さんにじっと見つめられ、ますます夏希は赤くなる。
「いえいえ!美味しいご飯ありがとうございました!!」
プルプルしながら言うと、
「伊藤〜ほんまにありがとな」
と、佐原に優しい微笑みで見つめられる。


「がはっ!……わ、私最後にお花摘んでこようかな〜」
「お、よう知っとるな。俺も案内がてら行こー」
と、佐原と連れ立っておトイレに向かった。









用事が終わって、廊下で待っていると、
五月の娘の玲香がじっとこっちを見て立っていた。



「………あ、美味しいご飯ありがとうございました……」
「涼司はんはもうお席に戻りましたえ」
「あ、すみません……」

「夏希はんでしたっけ?涼司はんとはどのような御関係で?」
玲香は責めるように質問してくる。

「え……と、同僚?」
夏希もなんと言ってよいか分からず、百合に説明したままのことを言う。

「そうですよねぇ……涼司はんは桜井商事を継ぐお方ですもん。
こんなちんまい男か女か分からしまへん子どもと付きおうなんてえりえへんですわ!

お母様に彼女連れてきた言われた時は、どんな方かと思いましたが……クスッ」
グサグサと酷いことを言いながら笑う。

「……あのねぇ!!」
と、黙って聞いていた夏希もさすがにバカにしてると言うのが分かり、言い返そうとした。

「涼司はんと、結婚するのは私ですえ。

あなたはふさわしゅうありまへん」

と、キッパリ言われた。



「蝿のように涼司はんにたかるのはやめんさい!!

お父様が大変な時に……」
ギロッと最後は睨まれ、夏希はけちょんけちょんにされた……。


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