犬猿の仲でも溺愛が止まりません!




夏希はトボトボと席に戻る。

「どうかしたん?」
と佐原がのんきに聞いてくる。

(蝿………ブーン)
玲香の言葉が消化できずぐるぐると周り、……痛い。


「夏希ちゃん、食べ過ぎてお腹痛い?」
百合も心配そうだ。


せっかく佐原と佐原母を元気づけようと来たのに、自分が凹んでてはだめだと気づき、
「大丈夫です!ちょっと眠くて……ハハッ」

「なーんや、お腹いっぱいになったら眠ぅなるなんて、子どもみたいなやっちゃな」
「ふふふ」
二人は夏希の嘘には気づかず、ホッとした様子だった。

百合は、貧血で倒れて、
その後は病院に行く以外は家に引きこもっていたと聞いたが、
今日は夏希のおかげか元気そうだった。

佐原と夏希の戦いを面白おかしく話すと、嬉しそうに聞いてくれた。


玲香の冷たい視線を背中に感じつつ、再び桜井家に戻ってきた。


「じゃあ、私はこれで!!」
サッと手を挙げ帰ろうとする。
「は!?なんでや!」
佐原がガシッと夏希の腕を掴む。

「だって、月曜日仕事あるし」
「それはそうやけど、まだ土曜日やろ?」
「……顔見に来ただけだし」
「まだ足りん!!」

玄関先で引っ張り合いをする二人を見て、
「やぁだぁ〜本当二人は仲良しねぇ」
と百合。


「部屋もたんとあるし、今日1日くらいいてくれへんか?」
と、佐原はちょっと寂しそうに言う。

「いや!!お家はまずいって!!」
「大丈夫よ〜掃除もして頂いてるし!
お客様が急に泊まるなんてよくあるのよ。そんな気にしないでいいわよ。夜も沢山東京での涼司のこと聞かせて」
と、にっこりの百合。

色々気になることはあったが、最後は百合の優しい圧に負けて、泊まることになってしまった。
< 40 / 45 >

この作品をシェア

pagetop