犬猿の仲でも溺愛が止まりません!
「ねぇ、夏希ちゃん?お風呂入ってきたら〜?どうせ、涼司、案内とかしてないやろ?」
「こ、これからするところやったんや!」
と佐原はぶーたれている。
「じゃあ、案内したげるー!一緒に入ってもええけど♡」
「えっ!」
「おいコラ!ええ加減にせぇよ!!」
「ムフフ、そんないきなりしないわ。ほんまにお嫁さんに来たら一緒に入ろーな!」
とムギュッと抱きしめられる。
夏希を抱きしめ、リビングを出ようとした時、
すみれは振り返った。
「あ……言うの忘れとった。オトン起きとったで」
「は!?」
「だーかーらー!仕事の後に病院寄ったんよ。したら、オトン起きとった」
「え!マジか!」
「仕事の話しようとするんやから、やめさせといたわ。ほんま仕事人間やわ」
「ええ!凄いやん!オカンに伝えな!」
「涼司から教えたげてな。じゃ、夏希ちゃん、うちらはお風呂や!」
と、涼司は真っ先に百合のもとに駆けていった。
「ふふ、ほんま涼司走って行ったわ」
「……」
ふと見上げてすみれを見ると、少し涙目の笑顔だった。
「ほんま、良かったわ……」
「本当ですね……」
夏希に触れる手が少し震えているようで、夏希はそっとすみれの手を握った。
「お姉さんも、心配だったんですね……社長、目が覚めて良かったです」
と夏希がニコッと笑うと、すみれが再びムギューと抱きしめた。
「なんなんー!!夏希ちゃん、かわええなぁ〜!いつお嫁に来るん??」
とグリグリされた。
それからは百合も起きてきて、お祝いムードで明日は佐原父の病院に行くとのことだ。
夏希はさすがにこんな時に会えないと断った。