犬猿の仲でも溺愛が止まりません!
波乱の幕開け
佐原と玲香の婚約……
まだ佐原と夏希の関係は……そりゃあ1回致しただけの同期だ。
でも、二人の関係は互いの歩み寄りがあり、
今回は言えなかったが、
佐原が落ち着いたら……と夏希は思っていた。
帰りの新幹線の中で玲香がどう言おうが、
大丈夫……と思っていた。
その読みは正しくはなかった。
「ねぇ!聞いた!?山野ホールディングスとの合併話!」
「佐原さんの仕事を、山野ホールディングスの令嬢がお手伝いしてるらしいよ!」
「キャー!二人はいい関係ってこと!?」
「イケメンと美女で絵になるわぁ~♡」
週が明けると、佐原は社長代理としてしばらく働くことになったと聞いた……。
そして、その秘書としてなぜか玲香が付けられていた。
大企業の令嬢との写真がなぜか撮られ、芸能人でもないのに大々的にネットで噂になった。
それがまた、美男美女の美しい写真なのだ。
「……うげぇ〜……」
夏希は自分のデスクにおでこを埋めた。
「先輩、声汚い」
「由佳ちゃん〜」
ぐりぐりとデスクにおでこを押し付ける。
「……まぁ、そうなるのも分かりますが」
「ウ~ン」
「先輩が休んで大阪に行ったと聞いた時はこれは!と思いましたよ。でも、なーんにも自体は動かず、更に最悪になっちゃうなんて!」
「うぐぐぐ」
「決める時は決めないと〜」
彩香にもそんなこと言われた気がする……。
「ほーんと、先輩って、仕事では先まで読んでササッと仕上げるのに、恋愛となると……」
由佳は呆れたように頬杖をついて夏希を見る。
「……で。佐原先輩からは?」
夏希はおでこを埋めたまま首を振る。
「うーん、こんだけ騒ぎになってるのに連絡なし〜?」
夏希はバッと顔を急に上げた。
「え!」
戸惑う由佳を見ることもせず、
「さっ!!仕事よ仕事〜!!」
と大きな声で叫び、
「私、資料室行ってきまーす!」
とそそくさと部屋を出てしまった。
由佳はその変な姿を心配そうに眺めていた。